2025年07月11日
当事務所の笠原亮一弁護士が、2025年7月3日開催された忽那海事法研究会(※)の第242回研究会において英国最高裁判所判例RTI Ltd v MUR Shipping BV [2024] UKSC 18に関する発表を行いました。当該判例は、英国法準拠のCOA契約において運賃が米ドル建になっていたところ、傭船者の属性に起因して米国制裁法の適用により米ドルでの支払が困難になったことに関連して、債権者である船主側が、当該契約上のForce Majeure条項の適用を主張して債務者である傭船者側からのユーロでの支払申出を拒絶したことの是非等が争われた事案ですが、英国法における不可抗力条項の解釈一般について明らかにした重要な判例です。更に、同弁護士の発表後には、同弁護士と参加者との間で活発な質疑が行われました。
※忽那海事法研究会とは、1990年に著名な海事法弁護士であった故忽那隆治弁護士を主宰者として発足した、本邦の海事法弁護士や船会社・海上保険者等の実務家多数からなる勉強会です。その後定期的に勉強会を開催してきたほか、1998年9月には「国際取引法および海商法の諸問題」、2011年7月には「国際取引法および海商法の諸問題Ⅱ」と題する参加者の論文集を自費出版しています。忽那弁護士が2016年に逝去された後も、一時中断はあったものの、現幹事の方々が中心となって継続して勉強会を開催しています。当事務所においては、池山明義弁護士がかつて長期にわたり本研究会の幹事を務めていたほか、同弁護士及び伊藤弐弁護士も研究発表を行っています。