2025年5月13日から17日にかけて、東京で、万国海法会(Comité Maritime International)(※)の第44回国際会議(CMI東京国際会議)が開催されました。
本国際会議は、世界約50か国から約450人の関係者の参加のもと盛大に開催され、自動運航船(MASS)、脱炭素関連、浮体式オフショア再生可能エネルギー施設(MORU)、船荷証券電子化その他の海事に関する様々な最新動向から生じる法的諸問題について多数の発表や議論が行われました。万国海法会が生みの親ともいえる2つの条約(ロッテルダム・ルールズ及び船舶の裁判上の売買の国際的効力に関する北京条約)の最新動向も紹介されました。更に最終日には、CMI Lex Maritima 2025(海事法に関する東京原則)なる文書が採択されました。これは、法的拘束力はないものの、海事法各分野における一般的原則と目される内容の取りまとめを目指したCMIの過去10年余の努力の成果です。採択された最終版は、近日中に https://comitemaritime.org/work/lex-maritima/ その他のCMIウェブサイト内にて公表されるものと思われます。その他本国際会議の詳細については、https://cmi2025tokyo.org 又は https://comitemaritime.org/event/japan-conference/ をご参照ください。
当事務所は、本国際会議にGold Sponsorsのうちの一名として協賛したほか、当事務所の弁護士は、現在英国留学中の深町聡弁護士を除き全員が本会議に参加しました。このうち、池山明義弁護士は、本国際会議のホスト的立場の海法会である日本海法会の理事・常務委員 兼 組織委員会委員として本国際会議の準備全般に参画したほか、会期中5月15日に開催された「Asia-Pacific Insight: the Views from NMLAs」なるセッションにパネリストの一人として登壇しました。また笠原亮一弁護士は、日本海法会の実施委員会委員として本国際会議の準備に参画したほか、万国海法会のCMI Young Lawyers 委員会委員の一人として、5月13日の「yCMI Social Event」及び 17日の「yCMI: The Digital Transformation of Maritime Law」なるセッションにつき、その企画段階から準備に深く関与しました。他の弁護士も可能な限り参加し、世界中からの参加者との交流を深めました。
(写真:“Asia-Pacific Insight: the Views from NMLAs”セッション)
(出典:https://cmi2025tokyo.org)
当事務所としても、このような歴史的な国際会議に参加する機会を得たのは、誠に名誉なことであり、非常に喜ばしく考えており、今後とも、機会があればこのような会議に何らかの形で関わっていきたいと念じております。
※ 万国海法会(https://comitemaritime.org)は、1897年に設立された、海法の各分野の世界的統一に貢献するための諸活動を目的とするNGO(Non-Governmental Organisation)です。本部はAntwerpにあり、現会長はAnn Fenech氏です。日本海法会(https://jmla.jp)は、1901年に設立された、海法の国際的統一その他の海法の健全な発展に寄与することを目的とする公益財団法人であり、万国海法会の会員たる海法会でもあります。現在の理事長は藤田友敬東京大学大学院法学政治学研究科教授です。
万国海法会は、原則として4年に一度世界各地で国際会議を開催しており(その間にもコロキアムと称する若干小規模な大会があります)、東京では、前回は1969年に第28回国際会議が開催され、長年2度目の開催が期待されていました。当初、2度目の東京オリンピックと同じ2020年の開催予定でしたがコロナ禍で延期され、今回56年振りの日本開催となりました。因みに、前回1969年の国際会議においても、当事務所創立者であった故阿部士郎弁護士が、執行委員会委員の一人として準備に参画し参加しておりました。